曇り時々晴れ通信

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ノスタルジックと内輪騒ぎは似て非なるもの

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フジテレビ系新番組「石橋貴明のたいむとんねる」

昨日、テレビをザッピング(死語)していたら放送していたので、なんとなくチャンネルそのままにしていたところ、どうやら単発の特番ではなくレギュラー放送の初回だったよう。

もう石橋貴明が出ている時点で、だったいの察しというか内容がわかりそうで、案の定第一回ゲストの工藤静香おニャン子クラブ当時のことで話が進む。そこにサブMCのミッツ・マングローブ工藤静香のレコードジャケットなど資料を提供し割り込んでくる役目。確かにおニャン子クラブ全盛期、私も小学生でそれなりに見ていたし、今でも工藤静香はキムタクの奥さんである以前におニャン子クラブの影のあるヤンキーチックなメンバーだったという認識だし、石橋貴明にいたっては全盛期と言われる「夕やけニャンニャン」「ねるとん紅鯨団」その後の「生でダラダラいかせて!」あたりまではなんとなくでも見ていた世代なので、今放送を見ていて、懐かしい記憶が蘇ってきたりした。おそらくこの番組のターゲットもそこらへんの世代にそう思ってもらえるというのがコンセプトだろう。

しかし同じ80年代を語るにあたり、平野ノラがネタにするのと石橋貴明が喋るのとではだいぶ温度差があるように思う。平野ノラが「バブリー!」を叫んでも、最低でもクスクス笑いぐらいは起こるが、同様に石橋貴明が「ザギンで…」と語りだすと、「あぁ、またか」となりがち。少なくとも平野ノラはその当時まだ生まれていないので体感はしていない。ということは、年齢から考えても当時を生きている石橋貴明の話すことの方が当然リアリティがあるはずなのだが…。単純に平野ノラは一発ネタという舞台で、石橋貴明は自分の冠番組でやいやいやるというポジションが違うことを考慮しても逆転現象がする。

人徳?人柄?それはさておき、石橋貴明はふつうに喋ってるとそれほどクドくはない(と思う)。ところが意気揚々とパワーを打ち込んでくると画面の外には面倒くさい感が膨大してしまう。それを助長しているのがおそらくスタッフの笑い。それも本当に笑っているのではなく、演出という名の笑い声音声という手法。バカ殿やめちゃイケでも馴染みのあるこの"演出"は諸刃の剣で、笑うところですよという指示はもとより、無意識に笑いを強制させられてしまう。かと言ってシーンと静まり返ったりクスクス笑いだったりした場合、肝心のオチだったりボケだったりするところが台無しになってしまう。別にそれは否定も肯定もしないけれど、石橋貴明ひいてはとんねるずの番組では、まるでスタッフの反応を第一に考えた作りだと言われても仕方がない。80年代に比べて消費者はずいぶんと賢くなった。視聴者もテレビを見る目が肥え、テレビ以外のメディアが溢れかえったというのもあるけれど、つまらないものには見向きもしない。それでも現在でもそのスタンスを変えない石橋貴明は、それはそれである意味芸人なんだなと思う。

しかし、彼のトークの中にはさらに視聴者との疎外感を増大させるキーワードがある。それが「イシダ」。フジテレビの重鎮プロデューサーであり、とんねるず全盛期を支えた人物、石田弘氏。この名前が彼の口から出始めると一気にシラけ始める。おそらくテレビ業界の方々には知名度も実績も十分で、その内容はすぐに頭の中に入ってくるのだろうが、一般人には馴染みのない人物であり、そもそも番組スタッフとは裏方であり、顔出しすることもないという前提で見ているので、「ハァ?」となるわけである。今でこそプロデューサーやディレクターがちょいちょい番組内で登場することも珍しくなくなったが、それでも本業は制作・指揮側であり、演者ではない。これ以外にもとんねるずの番組は、総じてスタッフいじりが強い。

昨夜も「当時テレビ局の入館チェックは緩々だったため、TBSの玄関にあったグランドピアノが平然と盗まれた」という話は、普通に「あー、皆が浮かれていたそんな時代ならではだな」と普通に聞けているのだけど、工藤静香が石田プロデューサーの名を振った当たりから石橋貴明がイキイキし始めて、(当然、知らない人のために画面には石田氏の説明テロップが写真とともに映し出される)視聴者が遠のいていく。そんなことは石橋貴明本人ももうすでにわかっていると思うが、やはり自分たちを育ててくれた恩師でもある人の名を出すのは、実は人情味なのかもしれない。

工藤静香がポルシェを乗り回して、走り屋顔負けのギアチェンジだったという話は、同じ一般視聴者が知らないことでも、「工藤静香」という芸能人の裏エピソードとして聞かされるため、「やっぱり工藤静香ってヤンキー入ってるよね」とか「当時あの年齢でそういう車を乗り回してたんだね」という風にしか入ってこない。それを「何コイツ?」と思うか、「すげーな!」と思うか、「やっぱりそんな時代」と思うかはそれぞれで、いずれにしてもそこには裏方ではない演者の工藤静香の裏の話だから、どっちにしろ聞きたい。世間で翌日のお茶タイムネタにされるかもしれない。しかし、石田氏の話は業界人以外、99.9%翌日の世間話には挙がらない。この違いなのだろう。

さて、初回は引用記事のとおり視聴率3.9%というスタートである。ネットや各メディアでは、「各局ニュース時間帯の23時の枠はきつい」だの「キャスティングに魅力がない」だの「フジテレビのとんねるず石橋貴明)への手切れ金ならぬ手切れ番組だ」との意見が見られているが、ゆるいトーク番組としてはなくもないかなという感想。そもそも視聴率だってレコーダー全盛の時代、リアルタイムで見る層の数なんてアテにならないし、その数字は局側の方々にとってのみ重要な記録でしかない。そして工藤静香は老けたなと思うけれど、石橋貴明は年齢にしてみれば老けてない。(メガネのせいで違和感はあるが。)1クールぐらいで終わると思うし、ゲストはやはり石橋貴明ゆかりのある人物が出るのだろうけれど、ニュースに飽きていてリモコンをカチャカチャしてたまたま見つければ、何となくつけてても、それはそれでおかしくない。ニュースだってテレビでチェックしないといけない時代ではない。毎回バブル時代だけをノスタルジックに語られても困るのだけど、「リアル野球BAN」ぐらいのテンションなら、とんねるず全盛期を知らない我が家の小学生でも一定の需要はあるので、録画もゲストも放送日も追っかけたりしないが、ほんの少しだけ気にかけておくようにしようと思う。

それにしても、番組名がやはり他局放送であっても「ドラえもん」のひみつ道具から取ったのか、そのセンスは王道でわかりやすく、その点は評価したい。(笑)