曇り時々晴れ通信

出来事、考え事、独り言。

ハーデンに対する不思議な感覚

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WOWOWで放送していたロケッツ対ウィザーズの一戦。内容は終始ロケッツがリードし危なげない展開で、あとアシスト一つでハーデンがトリプルダブルという39得点10リバウンド9アシストの暴れよう。このことからもだいたいの内容は察してもらえるかと。

ところでうちの子はハーデンの大ファンであるが、88-89シーズンからNBAを知った私としては、どうもハーデンに対して素直にスゴいと思えないのである。よく「そもそもハーデンのステップ(特にステップバックショット)はトラベリングじゃないのか?」という意見と、「3ポイントラインで唐突な3ポイントショットでボールを振り上げた際に、なぜかディフェンスの手に当たりファウルを貰えるのでレフェリーを味方につけている」かのような意見を耳にするが、正直、前者はトラベリングくさいがトラベリングではない(それよりレブロンの走りながらパスキャッチする際の余計な一歩の方が気になる)と思うし、後者はディフェンスの手をよく見ていて当たるようにシュートモーションに入っているのだからテクニックだと思う。でもスッキリしないのは確かである。

なぜか?このモヤモヤ感はどこから来るのか?

それはハーデンに突出したクイックネスがあるわけでもなく、パワーがあるわけでもなく、それらを全面に押し出したプレイスタイルではないからなのかもしれない。例えばカイリーやカリーはそのボールハンドリングを駆使し、ガードならではのクイックネスで敵を翻弄しゴールにアタックする。ハーデンもハンドリングは長けている方でノロマというわけではない。レブロンのドライブは、その体格とパワーでディフェンスを弾き飛ばせることができるので、ほとんどが激しいボディの接触を伴ってリングにねじ込む。ハーデンはディフェンスを弾くというよりは、有名なユーロステップをつかってディフェンスを交わしてレイアップに持ち込み、ポンッと腕に手があたってファウルからのバスケットカウントがそのスタイルである。どちらもドライブからのリングアタックには正当な方法であるのだが、これは見る人の好みにもよるので、「圧倒的」を取るか「巧み」を優先するか…その違いなのだろう。

過去にもポジションは違えど、シャックはレブロン型でゴール下を支配し、オラジュワンはドリームシェイクで交わしてペイントゾーンを優位にするなど、タイプが異なる選手は山ほどいるし、それが当たり前なことなのだけど、ハーデンに至っては、オラジュワンのそれとは違った感覚を覚えるのである。

ということをあれこれ考えていると、ハーデンのバスケスタイルは、現代バスケットボールルール、ひいてはNBAルールを最大限利用し、元々持っている駆け引き能力を加えて得点を重ねる新しいタイプなのかもしれないと思い始めた。別に審判に賄賂を送っているわけでもないがほぼ笛が鳴り、アンクルブレイク(注:オフェンスのボールハンドリングに翻弄され、マークしているディフェンスがバランスを保てずフロアこけることの例え。まさにディフェンスの"足首を折る"ような動きのこと)を引き出すほどのムーブではないが、ディフェンスのいない方向や空間を作り出してそこを使う単純方法で、中・外を使い分けるだけ。実は正統派というかきっとバスケをしている人ならどこかの過程で教わっていることを高めた結果、ハーデンが出来上がったんじゃないのか。(ちなみにその土台はジノビリが作ったようにも思う)

そして、手放しでハーデンを認めることができないのは、この試合で果敢にドライブを試みたもののケガ明けで本来の動きではなかったスピードスターのウォールや、プルアップやノーマルのステップバックのジャンパーを決めていたビールのように、大多数の選手が行う技の速さや精度を上げた技を持つ彼らスター選手のムーブに対して、ハーデンの「実は正統派の(ような)動き」が対角に位置するからなのではないか。なのでズルく感じるし、ディフェンスを置き去りにする感がない上に「ピッ!」と笛が鳴るので「エ~ッ?」と感じる。

これらをベースにしてさらに普通にノーマークで打ってもスリーが入るし、フリースローも入る。おまけにアシストもある、まさしく無双。オフェンスバリエーションでほとんど見ることがないのは、ポストプレイからのターンジャンパーぐらいかも。あとフェイダウェイとか。(ステップバック自体が、ある意味フェイダウェイなので必要ないか)

でも天は全知全能を与えず、弱点はやはりディフェンスか。徐々に向上しているとの話ではあるが、その多彩なオフェンス能力と比べるとディフェンスは突出して良いとは評価されていない。

なので、今後、ロケッツが優勝を狙うためには、ハーデンがオフェンスでこのパフォーマンスを出すことはもちろん、ハーデンが抜かれた後のチームディフェンスも鍵を握っているんじゃなかろうか。プレイオフ、そしてファイナルはディフェンス力がキーになるというのはNBAの常識。相棒のポールはスティール能力が高いとは言え、年齢によるスピードの衰えも隠せない。ハーデンがファウルトラブルになったとき、それとアウトサイドが不調のとき、どんな戦い方ができるのか?しのげるのか? 

ハーデンのファンではない父が、消去法で選んだロケッツのウェスタンカンファレンス制覇を見守ることにします。